究極の忖度?
昨日フジテレビの「IPPONグランプリ」を観ていました。
10名の芸人さんが大喜利を行う番組で、不定期(番組更改期?)放送なんですが、大好きな番組で放送開始当初から観ています。
大喜利と言えば日本テレビの長寿番組「笑点」があります。
あれなんかも面白いのですが、噂によるとあれは構成作家さんが付いているとの事。
(違っていたらすみません。)
それに対してこちらは仕込みなしらしいです。
①仕事には納期がある
仕事をしている人は誰しも「納期」というものがあります。
「期限」とも置き換えられます。
- 営業をしている人は売上目標(ノルマ?)が与えられますが、それには必ず「一ヶ月」「四半期」「半年」「一年」等の期限があるはずです。
- 工場等の管理責任者の方が立てる生産計画には「〇ヶ月単位での」という期間が付きます。
- 経理担当者なら翌月〇日までにその月の試算表を作ります。
- 建築やソフトウェアの請負には〇日までに引き渡し(納品)しないといけない。
こんな感じです。
商品の引き渡し、サービスの提供、内部事務…。
企業の経営活動には全て納期というのがつきまといます。
IPPONグランプリではお題がその時に与えられます。
与えられてから即座に考えなければいけません。
しかも回答期限は他の人がボタンを押すまで。
非常に厳しい戦いです。
さらにどんなお題が分からない為事前の段取りが全くできません。
普通の仕事は何となくの「流れ」というのが分かります。
今月の売上目標は〇〇円、来月は〇〇円。
今月はこれだけこなす、来月はおそらくこれ位だろう、という感じです。
そういった予想を立てられればそれに対して準備が出来ます。
よく言うところの
「仕事は段取り8割」
というのはそういうところからきているものと思います。
このIPPONグランプリではそういった事前の段取り、根回しといった事が全くできません。
②根回し、段取りなくその場の判断で仕事が出来る
僕が思うに何かに「笑う」というのは2種類の要因があると思います。
- 「この人のこの芸は面白い。」と事前に自分自身が認知して、相手がその通りの芸を行う時…よくある定番の芸がそうですね。よく「一発屋芸人」と言われる方の芸というのはこちらが多いですね。 「この人はこの芸が面白い」と事前の認知があり、その期待に応えた芸が見られると「きたー」という感じで笑う。こういう感じでしょうか。
- 2つ目は「意表を突かれる」パターンです。日常生活でも自分や他人が思わぬミスをして、それが笑える、というのはこのパターンです。事前の期待値が低い分ハマると面白い、というパターンですね。
僕の感覚とすると2つ目の方がかなり難しいと思います。
これが素人ですと単純に「あの人は天然だね。」で済みますが、これを職業としているお笑い芸人さんの場合「その場のとっさの反応、切り替えし」が要求されます。
よく「一発屋」といわれ強烈なギャグで一世を風靡する方をその後テレビで見られなくなるというのはこの2つ目の能力が不足されている方だと思います。
「ネタ見せ番組」や「お笑いコンテスト」で1つ目の能力、つまり自分達のパターンネタを披露し、それが認知、評価されてもそこから2つ目の能力=その場でとっさに何かを発する能力がないと生き残っていけない。
トーク番組やロケ番組でその場の流れや突発的事項を笑いに変える事の出来る人が重宝されます。
逆に言えば昔からしょっちゅうメディアに出続けている人というのはこういった能力にたけている方なんだと思います。
③相手の意表をつく、期待を上回る
また上記②で書いた笑いが起こる2つ目のパターンは「相手の意表をつく。」という事です。
観客やテレビの前の視聴者は
「何か面白い事が見られるだろう。」
という期待感でお笑い番組をみます。
つまりこの時点で
「面白い事を言わないといけない。」
という事で笑うポイント、ハードルは上がってしまっている訳です。
そこから笑いを取る、という作業は
「『面白い事を見たい。』という観客の期待を上回らなければならない。」
という事です。
ここが素人の「天然ボケ」と大きく異なる部分であり、こここそプロフェッショナル、という部分です。
④まとめ
この番組を観ながらふと
「自分はこういう期待以上のものを提供できているだろうか。」
という疑問に駆られました。
テレビという公共の電波で観客の事前の期待を遥かに上回る面白い事を一瞬の時間で提供する。
とんでもない頭の回転の良さが要求されます。
「こういうことは訓練で身につける事が出来るのか。」
という疑問も生じました。
改めて第一線で活躍している芸人さんに対してリスペクトの感情を抱いたひとときでした。