収益とコンプライアンスと両方を追わなければならない時代。
昨日は4月1日、新年度の始まりでした。
新元号発表とも重なり、何となく
「新時代の到来」
という雰囲気が漂っています。
我が社も新入社員が2名入社しました。
社用で市役所にも行きましたが市民課が激混みしており、おそらく転入出に伴う手続きなんだなあ、と思いながら待ち合わせ椅子に座って周りを見ていました。
夕方から現場の管理職の方との打ち合わせがあったのですが、終わって雑談をしていた時に
「難しい時代になった」
という話をしていました。
①働き方改革
4月から企業は従業員に対し有給休暇5日間を強制して取得させる事が義務付けられます。
うちの会社は企業規模、業態的に完全週休二日制を採用出来ず、変形労働時間制という体制を採用しています。
年間休日87日プラス有給休暇の計画年休10日でトータルの休日を97日に設定しています。
ところが業績好調の裏返しでなかなか予定通りの休日消化が出来ず、休日出勤分の手当を支払っています。
(ちなみにサービス残業は一切させていません。手当は全て計算して支払っています。当たり前の事ですが。)
ただやはり従業員からは
「給料よりも休みが欲しい。」
という声も現状出てきているらしく、その辺りが頭が痛い、という声が現場管理職から出ており、顧問の社会保険労務士の先生も交えて打ち合わせしていた後の雑談でした。
モーレツ社員称賛の昭和の時代からコンプライアンス重視の平成の時代へ。
令和に元号が変わっても益々コンプライアンス重視が進むと思われ、うちの会社は労働集約型の産業という事もあり、今後難しい舵取りを迫られるなあ、という話をしていました。
②収益はあげ続けなければならない
「コンプライアンス重視で休みをしっかり取らせたはいいが、売上や利益を減らしてしまったらどうするんだ。」
おそらく大多数の経営者の方が思ってみえる事だと思います。
定期昇給や賞与、退職積立といった従業員への給料、福利厚生費用の支払、新たな設備投資への源泉…。
会社は継続的に存続していく事が前提である以上(ゴーイングコンサーン)継続的に売上、利益を上げていかなければならないのは宿命です。
「会社はキャッシュがあればずっと継続していける」
といいますが、資金調達に必要な金融機関との付き合いも会社が継続的に利益を上げているのとそうでないのでは対応も全く異なります。
コンプライアンス云々以前に会社が収益を上げないと話になりませんし、コンプライアンスが減収や赤字の言い訳にはなりません。
但しうちみたいに労働集約型の産業で事業展開している会社は休みを増やす=収益が低下する、となります。
だから単純に労働者を極力休ませずに働かせれば会社は儲かります。
世の中でブラック企業、といわれる会社が蔓延る原因はまさにここです。
中小企業でオーナー企業なんかは会社の利益=オーナーのもの、となりがちですのでブラック企業の温床になりがちです。
また上場企業ですと企業間の株式持ち合いの解消がどんどん進み、いわゆる
「物言う株主」
というのは以前より増えています。
彼らが求めるのは利益の分配、ズバリ
「配当」
です。
配当を出そうと思えば処分可能な利益を捻出しなければなりません。
株主、出資者が経営陣にかけるプレッシャー、経営陣がかかる重圧は凄まじいものがあると思います。
この辺りも企業がコンプライアンス軽視、ブラック化が進む原因の一つだと思います。
③それでコンプライアンス重視と収益重視、どっちが大切?
・売上、利益を二の次にしてコンプライアンスを重視する。
・コンプライアンスは気にせず売上、利益を追う。
結局どちらを重要視しなければならないのか、という話ですが、この結論は一つです。
「売上、利益とコンプライアンス重視、どちらも追わなければならない。」
という事です。
売上や利益は落とせません。
かといってコンプライアンスを軽視、無視しての経営は今時成り立ちません。
ですから両方を追わないといけないという事です。
ここが非常に難しいです。
ある意味相反する事をしていかないといけないからです。
④二兎を追い、二兎共得る
「二兎を追う者は一兎をも得ず」
ということわざがあります。
今うちの会社にとっての「二兎」とは「収益」と「コンプライアンス」です。
非常に難しい事なんですがそれは現代企業、もっと言えば現代の日本社会に課された宿命です。
これをやろうとするとどうしなければならないか。
労働価値を上げるしかありません。
その為には何をしなければならないか。
- 一つの仕事に対して1万円の売値がついていたものを1万1千円に上げる努力をする…クオリティ(質)の向上。
- また1万円の仕事しかなかった得意先に対して別の5千円の仕事を受注できる様にする…クオンティティ(量)の向上。
質を向上させ、さらに量を増やす。
1万円の仕事の原価が8千円。別の仕事の5千円の原価が3千円。
これだけだと合計すると1万5千円の売りに対して原価が1万1千円。
これを一括受注による業務の効率化で原価を1万円に抑える努力をする。
その事で収益とコンプライアンス重視を両立させる。
これしかないのかあ、と考えています。
⑤壁は大きい程乗り越えてしまうと後の人たちが入りにくくなる。
難しい事、というのは誰にとっても難しいです。
当たり前ですが…。
という事は逆にそれをやり切ってしまえばやりきれない企業との差は歴然としてきます。
非常に大きな差が付きます。
そうなると占めたものです。
人も集まってきます。
人が集まれば安定した業務遂行能力が出来、その安定感が得意先にとっての売りになります。
そうなると財務は安定し株主や従業員といった利害関係者に対しての分配も多く出来る様になります。
難しい時代だからこそ、やり切った時の喜びはひとしおである。
そう考えて前向きに日々の業務に邁進していきたいと思います。