前回記事
の続きです。
③そもそも20年先、30年先の情勢を読めるのか。
今回相談された方は45歳で35年ローンを考えている、とおっしゃってました。
「ちょっと長すぎるのではないですか。」
と言ったら
「息子と2人でリレーを考えている。」
と言っていました。
僕が話したのは昭和の時代ならともかくそもそも今の時代に数十年先の情勢が読めるのか、という事です。
住宅ローンはローン総額にもよりますが20~30年単位で組むことが多いようです。
人によってはこの方みたいに35年という長期間で組む方もみえるみたいです。
そもそもそんな先の情勢なんて誰が分かるの、という事です。
まして息子さんなんて将来どうなるかわからない。
結婚相手が自分の家に入ってくれとか同居を望まないとかそういうケースだって十分にあり得ます。
そもそも就職とか転勤とかで地元を去ってしまうかも分からない。
その話も本人にしたのですが
「頑張って繰上返済する。自分のモノにならないものにずっと支払いをし続けるのが嫌なんです。」
と言ってました。
確かに賃貸ですと一定の支出で済みます。
ただやはり数十年先もその「一定の支出」が続く、というのがやはり心理的な圧迫感にもつながります。
この先の読めないご時世に少しでも将来のキャッシュアウトの要因を減らしておきたい、というのが僕の意見です。
その為にローンで購入するのは当然としても、どこかのタイミングで繰上返済を行い、早めに返済を終わらせてしまうべきだと思います。
持ち家には欠点があります。
「10~15年経過すると経年劣化が進み修繕費を用意しておかなければならない。」
という事です。
最近は外装がサイディング工事の家も増えましたが、サイディングの継ぎ目にはコーキングをしてあります。
このコーキングは10~15年するとかなりの確率で劣化します。
これを放置してしまうと水漏れにつながってしまいます。
他にもウォシュレット付便座やガス給湯器、エアコン等は結構くせ者です。
メーカー保証も10年位しかついていない為、そこを過ぎるとやはり壊れたりしています。
こういった支出に備える為にも
「繰上返済で元金を直接返済し支払総額を金利分圧縮する事で少なくして、かつローンの返済を早めに終わらせて将来の修繕に備える。」
というのが一つの考え方なんだと思います。
④支出と収入のバランスはどうなのか。
ここが大事なポイントだと思います。
ローンを組んでいる間、ローンを払っても生活できるだけの余力があるかどうか。
当然直近の期間は大丈夫でしょう。
現役世代であればよっぽど大丈夫でしょう。
ところが年齢が経過するとそういう訳にはいかない方も出てきます。
今の日本の会社の一般的な賃金カーブは50歳位をピークにしてその後下がっていく傾向があります。
60歳が定年の会社が多いですが、50歳から給与が頭打ちになり、そこから徐々に下がっていき、60歳で定年退職→再雇用となります。
再雇用になると給与は相当下がります。
そうやって65歳まで現役世代の最悪半分位の収入、下手したら半分以下の収入になるケースがあります。
そこまでにローンは必ず返済を完了しないといけません。
そうしないと前述したみたいに修繕費が必要になってくる可能性が高いからです。
となるとここまで述べてきて大事な事があります。
それは何か。
「持ち家にしても賃貸にしても一定の住宅コストはかかる。」
という事です。
賃貸なら家賃、持ち家ならローン完了後は一定の修理費用。
どちらにしても一定の費用が掛かるという事です。
ではどう考えればいいか。
⑤対応する収入源を作れればどちらでもいい。
昨日の記事の中で
一番目の答えは
「転勤の可能性が無く、生活圏が固定されているのなら持ち家、但しローンは極力短くする。
長めのローンを組んでもいいが返せるうちに繰り上げ返済等でローン期間を極力短くする。」
これがまず僕が返答する一般的な答えです。
と書きました。
これに対する二番目の答えが
「頑張って対応する収入源を作ってしまいましょう。そうすればどちらでもいい。」
という事です。
上にも「一般的な答え」と書きましたが、持ち家、賃貸のどちらかを聞かれているので一般的な答えとして持ち家、と答えてますが本当はこちらの考えを言いたい訳です。
ただこれを言ってしまうと人によっては「?」となってしまうのであまり言えませんが。
労働収入を得て、というか労働収入しか得ていない人がある意味生涯で一番多い支出になるであろう住宅関連費用をどの様に稼ぎ出すのか、という事を考えると、支出から考えて支出を固定させてしまうより、収入を考えた方が合理的である、と僕は考えます。
「持ち家か、賃貸か」というのはある意味支出です。
支出から考えるよりも収入から考える方が絶対にいいです。
というかそうするべきです。
考え方を変えましょう。