自財人を目指す男のブログ

人生を豊かにする「財」を「自在に稼ぐ」という意味の「自財人」を目指す男のブログです。某会社の執行役員として、トレーダーとして、トレード講師として、不動産投資家としての毎日を綴っていきます。

「節税」という言葉になびく人

税の優遇でナンボ得すんねん、という話です。

 

先日積立NISAに関する記事を書きました。

 

www.jizaijin.biz

 

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この手の話でいつも疑問なのは「節税になる」という言葉です。

 

①メリット、デメリットをどこまで正確に説明しているか。

 

そもそも積立NISAにしてもiDeCoにしてもいつも感じるのは

「メリット、デメリットの説明のウェイトのアンバランスさ。」

という事です。

 

メリットの説明の時は

「◯つの特典(◯内には数字が入る)」

とかいうタイトルで制度導入の背景や実際に加入するとこういうメリットがある、とデカデカとパンフレットに記載します.

そこに節税云々の事を大きく書かれています。

 

ところがデメリットの説明については

「元本割れのリスク云々」

を説明資料の片隅に小さく記載してあるに過ぎません。

ああいう説明を見る度に

「なんて不誠実なんだろう。」

と思います。

 

大事な事は節税云々よりもその商品を購入、加入する事で自分自身にとってのメリット、デメリットをどこまでちゃんと把握できているか、という事です。

 

②節税から入るからおかしくなる。

 

そもそも何かを検討する時に「節税」という観点のみから検討すると話はおかしくなります。

 

積立NISAにしてもiDeCoにしてもこれだけ国が税制の特典を付けて普及をプッシュしているのは本来国庫に入るべき税収を犠牲にしてまで得たい何かがあるわけです。

 

おそらく近未来には日本の社会保障制度が維持できなくなる、という背景から

「国を当てにし過ぎず、個人でも色々やって下さいね。」

という事で国策で普及させたいんだと思いますが。

 

となると国はこういうものに加入させたがる訳ですが、それに対して

・我々個人がそういうものに加入すべきなのか。

・実際に加入するならどういうものを選ぶべきなのか。

・加入しない、という選択肢はないのか。

をフラットに考えるべきだと思います。

 

その時の判断材料が

「税金が安くなる。」

という事だけでは判断の本質からずれてしまう訳です。

 

③節税で得られるものは意外に少ない。

 

そもそも税というのが何に対してかかるのか、という事です。

あくまで僕のイメージですが、

・資産の取得、保有にかかる税…固定資産税、自動車税、不動産取得税。

・経済的利益にかかる税…法人税、所得税、相続税、贈与税

 

こんな感じに大別されます。

 

前者は置いておいて問題は後者なんですが、これはあくまで経済的「利益」に対して課税される、という事なんです。

 

例えば法人の場合ですと今地方税まで含めた法人税の実効税率が30%超です。

となると100万円利益残したら30万円位は税金がかかる、という事です。

 

ここを勘違いする経営者の方って非常に多いんですね。

30万円の税金を払いたくない、という理由で決算対策で100万円近いものを買ったりして税を圧縮しようとする方がみえます。

それが本当に企業の経営に必要なものならいいと思います。

ところが30万円の税金を惜しんで100万円の支出をする、という、キャッシュフローの観点からしたら本末転倒な事をしている方がみえます。

 

結婚してみえる女性に多い「扶養」もそうです。

 

僕も勤めている会社で面接や条件説明をする立場ですが、結婚してみえる女性の方で

「夫の扶養の範囲内で働きたい。」

とおっしゃる方がみえます。

 

理由を聞くと殆どの方が

「扶養を外れるのが嫌だから。」

と言われます。

 

では扶養を外れる事でご主人の税金がどれだけ安くなるのか、を確認するとそれは分からない方ばかりです。

 

結局

「税金を払いたくない。」

という観点から逆算して色んな事を考えてしまうからこういう事が起こります。

 

 ④総合的な判断を。

先程も書いた通り税金というのは利益に対して一定の税率をかけたものを徴収します。

決して利益そのものにかけられる訳ではない、という事です。

「そんな事分かっているよ。」

と言いながらもそこで税金、というのが大きな材料になってしまっている訳です。

 

愛知県名古屋市の千種区に昔厚生年金会館というのがありました。

昔の厚生年金事業の解体に伴い某大手マンションディベロッパーが購入しました。

ここの厚生年金会館は単体で利益も出ており、有名アーティストのコンサートから地域住民のイベントまで多種多様な催し物の会場になっていたこともあり、名古屋市がこのマンションディベロッパーに対し固定資産税の減免を条件に会館の事業継続のオファーをしていたらしいです。

ただこのマンションディベロッパーは当初予定通り会館を解体してマンションを建てました。

 

まあこれがこのマンションディベロッパーにとっての「総合的な判断」なんだと思います。

 

・自分は何が目的なのか。

・その為にどういう手段をとるのか。

 

そこから考えて総合的に判断すべきであり、「税金が」という判断だけで何かを考えるからおかしくなります。

 

・100万円に対して30万の課税が嫌で100万円の不要なものを購入し100万円のキャッシュアウトを発生させる。

・ご主人の扶養控除を外れるのが嫌、というだけの理由で扶養控除の範囲内で働き世帯収入を上げられない。

 

こういう的外れな事は「税金」というフィルターを外して考えれば決して発生しないでしょう。

 

税というのは企業活動にとっても個人の生活にとってもほんの一部でしかありません。

 

本質をそらしてしまうと残念な結果になります。