ハードをどれだけ整えてもそれだけでは…、という話。
先日、フジテレビの「ワイドナショー」を観ていました。
ダウンタウンの松本人志や様々な方がニュースに対するコメントを発していてそれが面白く、ちょくちょく観る番組です。
その中で「アポ電殺人事件」に関するニュースについての議論がありました。
「アポ電」というのは高齢者の自宅に電話を入れてお金をあるかどうかを確認してからお金をとりに行く、というもので身内だけでなく警察官や役所職員等様々な立場、職業を名乗って電話をしてくる、というものらしいです。
まあ以前の「振込詐欺」「オレオレ詐欺」の延長だという事ですね。
高齢者や田舎暮らしの方は金融機関に行くのすら億劫で現金を自宅に持っているケースが多いらしく、そこを狙われるケースが多くなっているという事です。
ニュースの中で芸人の千原せいじさんが
「早くキャッシュレスに移行しないと、同じことが繰り返される」
といっていました。
ただ僕は
「そうでないだろう」
と思っています。
①テクノロジーの進化によって犯罪も「進化」する。
もちろんテクノロジーの進化というのは大事です。
テクノロジーで防げる事も沢山あります。
確かにキャッシュレスを推進していけばこの詐欺は無くなると思います。
ところがキャッシュレスというテクノロジーが進化すると詐欺もそれに対応するテクノロジーも出てきます。
キャッシュレスが進むという事はクレジットカードであれデビットカードであれ現金の代わりになるものが今よりさらに普及します。
という事はそれらを読み取るリーダーも普及します。
アマゾンのような宅配も国民生活に浸透している現在、ポータブルのバーコードリーダーもどんどん一般化されるかもしれません。
となると今回みたいなアポ電詐欺は逆に今以上に増えるでしょう。
詐欺にしても身代金にしてもポイントは現金の受け渡し時、というのを映画か小説で見た気がします。
今までみたいに銀行に行かなければ受け渡しできない現金がどこでも決済できる時代が来る可能性があります。
となると詐欺事件の被害金額も「手持ちの現金以上の金額が可能になってしまう。」可能性が出てきます。
結局イタチごっごになる、という事です。
②今までも時代に応じた詐欺事件はあった。
思えば「詐欺事件」というのは時代に応じて様々なものがありました。
おそらく今でも現在進行形でさまざまな詐欺が計画されていることでしょう。
どんな時代でも他人をだまそうとする人は残念ながら一定数存在し、その時代に応じた詐欺があります。
・よく映画や小説の題材にもなったM資金詐欺。
・WOWOWドラマでも取り上げられた外務省機密費流用事件
・ねずみ講という存在を世間に知らしめた天下一家の会
・豊田商事や投資ジャーナル、オレンジ共済
・最近では芸能人の羽賀研二による未公開株の詐欺事件
これも僕の記憶に残っているほんの一部であり、まだまだたくさんあると思います。
③どれだけハード面が進化してもそれだけでは防げない。
おそらくキャッシュレス社会が進行するという事はセキュリティも進むでしょう。
前述のポータブルバーコードリーダー(こういうものが出来るのかどうかは分かりませんが)なんかも例えば決済金額の上限が設けられたり、商業手形みたいに一定期間決済が保留されたりという機能がつくかもしれません。
高齢者対策である一定以上の金額は第三者(例えば身内)の承認が必要になる様なシステムが導入されるかもしれません。
但し、どんなシステムにもそれがシステムである以上抜け穴は必ず存在します。
なぜなら殆どの方がそのシステムの使いやすさを求めるからです。
例えば今あるデビッドカード。
暗証番号入力のみですが、セキュリティ強化で指紋認証システムとの2段セキュリティをかけたらどうなるでしょうか。
おそらくセキュリティという観点から見たら安全性は向上すると思います。
ところが決済の利便性という観点からみたらどうでしょうか。
かなりの方が「めんどくさいなあ」と感じるのではないでしょうか。
④結局大事な事は人の意識である、という結論。
詐欺対策に一番大事な事は何でしょうか。
それは「意識」です。
もし人々の意識から「自分だけは大丈夫」「所詮他人事」という意識が無くなれば、それこそが最強の詐欺対策になります。
この辺は防災対策にも共通して言えることだと思います。
詐欺というのは一種の「犯罪のプロ集団」です。
このプロを相手に「自分だけは大丈夫」という考え方は、「サッカーの素人がJリーグに入団してもそこそこ通用する。」というのと同じくらいのある種傲慢な考え方なんだと思います。
自分の身の回りで何か普段と異なる話、違う事が発生した時「あれっ 何かおかしい。」「なんか変だなあ。」という感覚を持つことが出来ればそれこそが最強のセキュリティになるのだと思います。
環境より大事な事は人の意識を変える事です。
それがなかなか難しいのですが…。