「昨シーズンに別の選択をしていたら…。」と思うのは僕だけでしょうか。
昨日メジャーリーグの開幕戦のマリナーズVSアスレチックス戦を観ていたらスマートフォンに
「イチロー、第一線を退く考え。」
という、なんともよく分からない表現のニュースが飛び込んできました。
ひょっとしてまた昨シーズンみたいに「会長付特別補佐」みたいな肩書きにでもなるのかなあ、と思っていたら現役引退、という報道でした。
イチローについては過去記事でも書きました。
「不世出の」という言葉がこれほど似合う人はいないであろう日米野球界きってのレジェンドであり、今回の決断について様々な方がコメントを寄せています。
あの年齢であの体型を維持し、巨人とのオープン戦で魅せたランナーのゲレーロを釘付けにしたあのレーザービーム…。
驚愕以外の何物でもありませんが、数年前落合博満さんが、今日の朝のラジオで田淵幸一さんがそれぞれおっしゃっておられた様に、動体視力が衰えてきたんだと思います。
18メートル強の近さから150~160キロのボールにバットを当てるというのは超人的な動体視力が必要とされるでしょうし、おそらく10年連続200安打が途切れたあたりから動体視力が徐々に衰えてきていたのでしょう。
それでもここまで出来たのは本当に素晴らしい事だと思います。
先程述べた様に「不世出の」という形容がぴったりくる方だけに、僕は昨年の決断が残念でたまりません。
①なぜ「会長付特別補佐」という役割を受け入れてしまったのか。
僕は前年5月にマリナーズからオファーがあったこの肩書をイチローが受け入れてしまった事が未だに残念でたまりません。
この肩書は日本語に訳したものでしょうし、英語で正式名称はなんだったのかは分かりませんが、
「今シーズンはレギュラーシーズン、ポストシーズン含め全ての試合に出場出来ない。」
という時点で一年近く実戦経験を積めない事がどれだけハンデか、という事をどう考えたのでしょうか。
いくらチームに帯同し練習参加可能といってもやはり練習は練習です。
試合前のフリーバッティングもバッターに気分よく打たせるためのもので、変化球を交えた打ち取る為のものではありません。
「一年間近く実戦経験を積めない。」
事がどれだけ不利になるのか。
僕はこれが凄く残念でした。
②マイナーから這い上がるという選択は無かったのか。
功成り名を遂げたメジャーリーガーでも年齢を重ねていくと所属チームから契約を切られ、他のチームからのオファーを待ちながらマイナーリーグでチャンスを待つ、という事はよくある事です。
あの盗塁王リッキー・ヘンダーソンも引退間近ではマイナーの色んなチームを転々としていましたし、最近ではバートロ・コロンもそうでした。
松井秀喜はオファーを求めて一人でトレーニングしていました。
マイナーであれば少なくとも実戦経験は積めます。
シーズンが進み、プレーオフの進出が濃厚になるチームはプレーオフに備えた補強も積極的に行います。
この辺りは日本とは比較にならない程多くのトレードが発生します。
セプテンバー・コールアップでロースター拡大の時にひょっとしてチャンスがあったかもしれません。
③実戦経験を積んでいれば多少は違ったのでは?
どんなスポーツもそうですがやはり「実戦経験」というのは大きなものだと思います。
「何としてもこの打者を打ち取ってやろう。」とする投手。
「何としてもこの投手を打ち崩してやろう。」という打者。
その中でこそ培った技術が磨かれていきます。
僕はイチロー程のキャリアを持つ選手なら実戦経験をしっかり積み、動体視力の衰えをカバーするだけの事が出来ればシーズン後半にプレーオフを争うチームからオファーを受ける事は充分あり得たと思います。
この前年のマイアミ・マーリンズ最終年にはメジャーリーグの代打記録にあと1本まで迫りました。
代打としての実績はあります。
しかも守備力は抜群です。
試合の勝負所で代打→そのまま守備固め、なんていう起用法も充分に考えられました。
メジャーリーグは162試合の長丁場です。
そこからプレーオフを勝ち進もうとするとさらに最長11試合こなさなければなりません。
けが人の穴埋め、不調者にとって代わる事、マリナーズとは全く違うユニフォームでメジャー昇格をしていたかもしれません。
それだけに昨年の決断が未だに残念でたまりません。
④お疲れさまでした。
とはいってもあの決断はイチロー本人が下した決断です。
様々な葛藤もあったでしょう。
あの立場にたった人しか分からない事情もあったでしょう。
マリナーズとの駆け引きもあったかもしれません。
今は去年の選択を少し悔やみつつ、
「お疲れ様でした。」
の一言を送りたいです。