奈良交通の行政処分に関するニュースがヤフーニュースに出ていました。
ちょっとこれを読んで色々考えされられました。
僕もちょっと前同じような局面に遭遇したケースがあったからです。
内容としては臨時便のバスを運転していた運転手が停留所で乗客を乗せた際にそのバスが満車となり(70人くらいの方が乗っていたらしい。)、さらにバスに乗り切れないかなりの人数の方が停留所で待っておられたのをみて、自分の会社に携帯電話で電話をかけて次のバスを早く出発できる様に要請していたことに対する処分、との事でした。
要は「バス運転手による運転中の携帯電話使用」という事みたいです。
奈良交通のHPの抜粋です。
ヤフーニュースのコメント全てに目を通したわけではありませんが、自分の印象によるとこの運転手の行為に対して7~8割の方が運転手さん擁護派、2~3割の方が否定派という感じ。
今回のポイントは
「運転手は顧客の事を考えて行動を起こした。ただそれがルール違反だった。よかれと思ってした行動に対してそこまで目くじらをたてるのか。」
という事なんだと思います。
・臨時便という事はおそらく何かのイベントがあった。
・時期が真夏(8月25日)。最近の日本の猛暑の状態とバス停(どんなバス停かは分かりませんが普通のバス停だと小さいところだと思います。)の広さ、日陰の無さ等を考えると少しでも早く乗客をバスに乗せてあげたい。
・結果運行中(この運行中というのがイコール運転、つまり車を実際に動かしている途中かどうかは不明。)に携帯電話で業務連絡をした。
という、いわゆる
「顧客の為を思って」
ということに対する部分が評価されている部分なんだと思います。
僕のこの問題に対する考え方は
「組織人である以上組織のルールにしっかり従え。
融通を効かせるならとことん効かせろ。
但し本質を見失うな。」
という事です。
順を追って書きます。
①組織人である以上組織のルールにしっかり従え。
この運転手が奈良交通の運転手である以上、奈良交通が定めたルールには従わなければなりません。
人が2人以上集まればその集まりは組織です。
人の考え方や行動規範は人によって異なります。
それを統一されるために存在するのが「ルール」です。
だからルールを守らないといけない、というのは当たり前の事です。
あとこの「ルール」というのでもっと大事な事はこのバス事業というのは国土交通省の許認可事業であるという事です。
許認可事業である以上守るべきルールを逸脱してしまうとこの許認可が取り消しとなり最悪廃業に追い込まれます。
この辺りの大局観は把握しないといけません。
②融通を効かせるならとことん効かせろ。
詳細は分かりませんが行政処分を受けるという事は運行中の携帯電話は運転中だったのでしょう。
そんな中で融通を効かせて乗客にとって少しでも良いことを、と考えるならとことんその融通を効かせろ、という事です。
例えばバスを一時停車させて車を降りて携帯電話をかける。そうして再び運転しだした際、車内放送で
「すみません。乗客多数につき臨時便を早めに到着させるべく状況報告をする為に電話を掛けました。」
位の事を話せばよかったわけです。
要は中途半端という事です。
ルールに従って出来ない事があればこのルールを逸脱することでどこにどういう影響が出るのか、そこまで考えてやればよかった訳です。
③本質を見失うな
この場合の「本質」とは何でしょうか。
それは「バスに乗った乗客を安全に停留所まで送り届ける事。」です。
運行中に携帯電話を使用することが果たしてその「本質」に見合った内容か、という事です。
携帯電話を運転中に使用した、という事自体がその事を不安に感じる乗客の方もみえるかもしれません。
実は僕も一年ほど前に同じような経験をしました。
高速道路を運転していた時の事です。
普段通勤で使っているルートでしたが、いつも渋滞していない箇所が渋滞とまではいかなくてもちょっとノロノロ運転みたいになりかけていました。
ところが渋滞案内も出ていません。
なんでやろ、と思っていたら走行車線と追い越し車線の間位に大きな鉄の塊みたいなものが落ちていました。
落下物ですね。
これが落ちていた為にそれを回避すべくみんなゆっくり運転になっていた訳です。
僕もぎりぎりまでこの落下物が見えず、ヒヤッとした記憶があります。
ここで迷ったのが「110番するかどうか。」でした。
というか110番するのは決めていましたが今運転中にするか、パーキングもしくはサービスエリアで停めてするか、という事です。
本当に結構危なかったです。
しかも高速道路の渋滞案内にも出ていなかった、という事はまだ落下してすぐで警察や道路公団もまだその事実を知らないかもしれない。
だから出来たらすぐしたい。
ただ今は運転中で携帯電話は使えない。
でもこの瞬間も僕みたいにヒヤッとしている人がいるかもしれない。
さんざん悩みましたが結論は
「サービスエリアまで行ってから電話をする。」
という事でした。
ここまで書いてきてなんですが僕自身はこの奈良交通の運転手さんをとても評価しています。
何かをみた時に何かをしようと一歩動ける人は素晴らしいと思います。
あとはその方法論。
本質を見失わずに判断能力を磨いていただきたいなあ、と思いますし、そういう事が出来る方が組織を引っ張ることが出来ればその組織は上手く行く、と思います。