自財人を目指す男のブログ

人生を豊かにする「財」を「自在に稼ぐ」という意味の「自財人」を目指す男のブログです。某会社の執行役員として、トレーダーとして、トレード講師として、不動産投資家としての毎日を綴っていきます。

復興所得税に思う、東日本大震災の記憶と税金。

先日事務所で来客対応をしていたときの事です。

 

打ち合わせが終わり来客の方が帰られて僕が応接スペースから席に戻ってくると部下が

「すみません。」

と声をかけてきました。

手には会社で掛けている定期預金の通帳。

 

用件を聞くと、定期預金の通帳の残高と経理ソフトの残高が合わず、原因は利息の仕訳が入っていない、との事ですが、利息から控除されている所得税の仕訳や計算方法が分からず、僕が来客対応している間ずっと悩んでいたとの事。

 

ここで彼に計算方法を話しました。

 

まず預金利息には所得税がかかります。

その所得税は利息総額に対して15%かかり、利息が入金される時に控除されます。

さらにもう一つ、復興所得税もかかります。

これは『基準所得税額の2.1%』になります。

今回の場合、基準所得税額が15%ですので15%の2.1%となり0.15✖0.021イコール0.00315になります。

 

ですからもらえる利息を1とすると、

・所得税率…0.15

・復興所得税率…0.00315

・実際に振り込まれる手取りの利息の率…0.84685

となる訳です。

 

という事は元々金融機関からもらえる利息の総額を求めようとすると、例えば実際に振り込まれた手取りの利息額が500円だったとすると、

・税金控除前利息…500÷0.84685=590円。

・所得税…590円✖️0.15=88円。

・復興所得税…590円✖️0.00315=1円。

となります。

仕訳は借方が

定期預金…500円

所得税額…88円

復興所得税…1円

貸方がその合計で

受取利息…589円

になります。

 

この仕訳をしておき、所得税と復興所得税は法人の決算及び申告時に法人税申告書の別表六(一)を経由して別表四に転記され、所得計算時に税額控除を受けるという流れになります。

 

この一連の流れを説明していると、部下が

「復興所得税の復興って何の事ですか?」

と聞かれてしまい、東日本大震災の復興だよ、と答えたら

「そうなんですか。知らなかったです。」

と言われました。

 

「自分達の貰ってる給与からも控除されてるよ。」

といって去年の源泉徴収簿を見せて説明すると

「全く知らなかったです。」

との事でした。

 

これを聞いて

「震災からもうすぐ8年。直接的な被害がなかった方(僕なんかもそうですが)は記憶が風化するのも無理ないか。」

と思ってしまいました。

 

また

「特定目的に税金を投入するならもっと分かりやすくしないとアカンのとちゃうかなあ。」

と思いました。

復興所得税は所得税と一緒に源泉徴収されるので、納税者としてもよく分からないです。

まあそれが「痛税感」を無くそうとする徴収サイドとしての狙いかもしれませんが…。

 

僕は阪神淡路大震災の時に大阪に住んでいて、周囲には神戸に住んでる友人や知人も沢山いましたし、彼らの中には実際に被災された方も沢山見えました。

当時は連日報道も流れていましたが、あの時もやはり報道の量も時の経過と共にどんどん減っていきましたし、今回の東日本大震災も最近は殆ど報道で耳にする事が無くなりました。

 

それらを踏まえて僕はこの復興所得税、こうしてくれないかなあ、という私的改革論を述べたいと思います。

 

①税自体の名称を変える。

 

現行は「復興所得税」ということで所得税の一部として処理をする様になっています。

どうせなら所得税に混ぜてしまうのではなく、独立した税にしてしまえばいい、と思います。

 

それを「震災復興税」とか「災害対策税」とかという震災をイメージ出来る名称にすれば納税者も

「何でこの税金払わないといけないかなあ。」

と考えたり、

「これだけ時間が経ってもまだ震災の傷ってあるんだ。」

とか記憶風化の一定の妨げにはなるのではないかなあ、と思います。

 

②災害対策全般に使える様にする。

 

税の名称を変え所得税から独立させたら今度は使用目的を「災害対策全般」として様々な災害復興等に利用できる様にしたらどうでしょうか。

日本は地震国家です。

今までも様々な地震が発生し、国土が甚大な被害に見舞われる事が過去に何度もありました。

国土強靭化計画という表現もよく耳にしますが、いっそ税を独立させ、所得税や消費税みたいに個別の税にしてしまうイメージです。

マイホームを購入する人が火災保険や地震保険に加入する様に、自動車を購入する人が車両保険に加入する様に、国民も災害に対して備えをする、その為に保険料的なお金を払う。

それが税という訳です。

 

まあ所詮素人の浅知恵であり、実現可能かどうかも分かりませんが、現状の

「所得税からこそっと控除する。」

というやり方は国民の納税意識の向上という観点からも、過去の震災の記憶風化という観点からもよろしくないと思います。

 

人の記憶ははかないものです。

過去の事はどんどん忘れていってしまいます。

それ自体は悪いことばかりではなく、だから嫌な事からも立ち直れる、という一面は確かにあります。

 

ただ東日本大震災から8年。

南海トラフ、東海地震の発生も予見されている中で防災意識の向上も声高に叫ばれている中でその備えの一つにはなるのかなあ、と感じた仕事中の出来事でした。