自財人を目指す男のブログ

人生を豊かにする「財」を「自在に稼ぐ」という意味の「自財人」を目指す男のブログです。某会社の執行役員として、トレーダーとして、トレード講師として、不動産投資家としての毎日を綴っていきます。

その制度、いつまで放置?

僕は平日の昼間は会社員として仕事をしています。

用事に応じて外出する事もありますが、基本は会社の事務所にて仕事をしています。

 

一日中会社にいると色んな電話やファックスが来ます。

どちらも必要なものもあれば全く必要の無いものもあり、特にファックスは必要の無いものはすぐに捨てています。

 

今日もファックスが届いたので見てみると

「社会保険削減セミナー。」

という案内でした。

 

これを見た時に思わずため息と同時に

「またかよ。」

と思いました。

 

この社会保険削減セミナー、様々なところからファックスでの案内が来ます。

 

この内容、結局内容は

「月々の給与の金額を社会保険料がかかる最低の金額まで安くしておいてその分賞与で取る。」

という事です。

 この場合の社会保険料というのは健康保険と厚生年金です。

 

健康保険から控除される健康保険の上限は賞与が年間573万円です。

そこを越えるとどれだけ賞与が増えても控除される健康保険の額は増えません。

厚生年金ですと月間150万円までです。

(一回の賞与は150万円以上なら控除される厚生年金の額は増えません。)

 

毎月定額の給与を支払う必要のある従業員ですとこの制度は使いにくいんですが、会社オーナー等はこの制度を使う事でご自身が負担せねばならない社会保険料を相当安くする事ができます。

(まあ見合いで自分自身が将来受給可能な厚生年金も減ってしまう、という欠点はあるのですが。)

 

この社会保険料の仕組み、以前から不思議でした。

給与については自分が支給される額によって負担すべき社会保険料が段階的に上がっていきます。

ただ厚生年金は平成30年の保険料額表を見ると給与の月額635,000円未満までは上がってきますがそれ以上は上がりません。

月額605,000円以上635,000円未満の方は113,460円を納付せねばならず、この金額を会社と本人で折半し、その折半された本人負担分(56,730円)を給与から控除される(天引きされる)訳です。

 

さらに健康保険は負担額が給与の月額1,355,000円が引き上げられる上限であり、納付額は137,610円、満40歳以上は介護保険がのっかってくるので159,433円。

これを会社と本人で折半するのでその折半された本人負担分(68,805円)を給与から控除します。

介護保険がある方なら79,717円です。

 

ただ不思議な事に何故か配当収入には社会保険料はかかりません。

これが最大の不思議な事です。

 

オーナー社長は会社からの自分の収入を役員報酬で確保するケースもあれば配当で確保するケースもあります。

むしろ最近の傾向として配当を重視するオーナー社長は増えている実感もあります。

ところが配当には全く社会保険はかからない。

 

例えば役員が月に100万円の役員報酬を取っていたとします。

年収は1200万円です。

100万円に対して社会保険料がかかります。

厚生年金56,730円、健康保険56,203円が毎月控除されます。

(介護保険含む)

 

ではこの方が例えば第三者に社長の座を譲り、役員報酬を月20万円にまで下げ、その代わり配当を960万円取ったとします。

年収は同じく1200万円です。

でも配当収入に社会保険料はかかりませんので、毎月控除される社会保険料は給与分のみで厚生年金18,300円、健康保険11,470円になります。

 (介護保険含む)

徴収金額が全く異なって来ます。

ですから手取りの金額も変わってくる。

 

これ、どうしてこうなるんでしょうかね。

 

これが所得税なら話は別です。

 

一部分離課税は別として殆どの収入が総合課税として最後集約され、そこから所得額が導かれ、その所得に応じて所得税が決まる。

さらにそこから住民税が算出される。

累進課税制度なので所得が高ければ税金も高くなる。

算出する計算の煩雑さこそあれ、そこはよく分かります。

 

ところがこの社会保険に関しては本当に謎が多いです。

 

しかも今回の給与を月給でもらうのと賞与でもらうのと会社からもらう報酬のカテゴリーは一緒でも(払う会社は人件費、もらう本人は給与収入)、控除される社会保険の金額は変わらない。

さらに所得税みたいに年末調整で過不足を精算するシステムもない。

住民税みたいに確定した前年の所得に対して課税するシステムでもない。

給与でもある程度の額で控除金額が上がらなくなる事は相対的に低所得者に対しての負担が重くなる。

 

さらに自営業の方が入る国民年金になると会社と個人の折半ではなくすべて個人負担。

会社員の様に厚生年金の上積み部分もなく、しかも会社員と違い年収等は全く関係なく一律毎月16,490円がかかる。

 

結局どういう思想で徴収しようとしているのかが全く見えません。

 

税もそうですが、適正な課税と実際の課税の「歪み」が経営者に脱税に走らせる一つの要因にもなります。

 

謎や制度上の欠陥が多い上に以前の消えた年金問題、最近の雇用統計の不正問題…。

 

本当にこの厚生労働省というところは訳が分かりません。 

 

こういったゆがんだ制度、いつまで放置されているのか…。