僕は普段仕事で数字に向き合う事が多いです。
・サラリーマンの管理部
・自分の会社の経営指標
・トレーダーとして株価
全て数字が絡んできます。
普段数字と向き合って感じるのは
「数字というのは本当に正直なものだなあ。」
という事です。
例えば会社の資金繰り。
自分の経営する会社はこじんまりとしていて従業員もおらず、家内と自分の2人のみの為そんなに資金繰りを気にすることはありません。
ところが勤めている会社ではそういう訳にはいきません。
売上の入金、仕入れ先への支払、給与の支払い、借入金の支払い…。
当然に相手により決められた支払日があり、それぞれのタイミングも違います。
それらを全て考慮し、資金ショートしない様に複数ある金融機関の口座の残高の調整作業が必要になります。
これって本当に売上の上下によってその2か月後位に資金繰りが変動します。
売上が上がってこればその2ヶ月後資金繰りは非常に楽になりますし、逆に下がってこれば資金繰りは2ヶ月後に苦しくなります。
まさに
「数字は嘘をつかない。」
です。
ただこの数字というのは非常に曲者でして、嘘をつかないからこそ取り扱いに注意しないと、という部分もあります。
会社というのは利益を残してなんぼの世界です。
なんだかんだいって利益を残さないと再投資も出来ませんし、手元にキャッシュが潤沢にあったとしてもいずれ先細っていきます。
利益を残すには現場サイドにハッパをかけて思いきり働いてもらえればいい訳です。
そうすれば仕事がある限り会社は利益を上げられます。
収益=売上から費用=経費を引いたものが利益です。
仕事の値段決めがある程度利益を織り込んだ適正なものであれば、その価格で売上を計上すれば利益は残りますし、売上が上がれば利益も上がります。
当たり前の話です。
数字は嘘をつきません。
ところがそれをやりすぎると現場が疲弊します。
従業員を雇用する事は日本には労働基準法という法律があり、それに基づいた雇用をしなければなりません。
現場の方に残業してもらおうと思えば事前に36協定を締結しなければなりませんし、残業してもらった時間分の残業手当も払わないといけません。
働かせすぎると休日の日数も少なくなり、残業時間も増えてきます。
以前の電通の高橋まつりさんの悲劇をくりかえしてはいけません。
休日の消化日数、残業時間、これも「数字」が絡んできます。
僕も管理部=総務機能も兼務する、の担当者として労働時間については毎月の給与計算時にチェックしています。
正直我々の会社の業界というのは今非常に忙しく、人手不足もあり、残業時間は非常に多くなっています。
これについてはいつも現場の責任者と色々やり取りをしながら日々改善策を考えています。
その時に僕が考える大事な事は
「数字だけでものを語らない。」
という事です。
うちの現場担当者は得意先からの受注に対してそれをこなそうと必死に段取りをしています。
そこは
「得意先のリクエストにしっかり応える事が得意先からの信頼増につながり、それが売上増に結び付く。
その積み重ねが会社を発展させる。」
という信念をもって業務に取り組んでいただいています。
その努力は僕もよく分かっています。
ところが現場の方が労働基準法を熟知しているかというとそれはそうではありません。
残業が36協定の中に収まっているかの確認はこちらがしないといけません。
そこにはどうしてもタイムラグが発生します。
そうすると今度はこちらが残業時間や休日消化のデータを持ち出して話をします。
「売上を増やす」
という行為と
「残業を減らし休日を増やす」
という行為は正直真逆の事ですのでそれはどこかでぶつかります。
その時にどうするか、というのは
「必ず相手の立場にたって考える。」
という事です。
自分も業務を忠実にこなそう、コンプライアンスを重視した経営をしなければならない、と強く思っているのと同じくらい現場サイドも会社の売上を上げよう、と考えて業務を行っている、という事です。
その専門性が違っているからぶつかってしまうのであって、
「業務に対して忠実である。」
という観点は同じである、という事です。
この時に数字を持ち出して
「この数字がこうなっている。これをここまでにしないといけないのでその為にこうしてください。」
と頭ごなしに言い切ってしまう事は何の解決にもなりません。
数字というのは数字ですがこれは人の思考が作り上げたものです。
現場を上手く効率よく廻す為に担当者が苦労してやったものが結果として数字に残る訳です。
であればなぜその数字が出てしまったのかを一緒に検証する。
相手の立場、考え方を理解した上で次月どうしようか、半年後どうしようか、一年後どうしようか、という事を一緒に考えながら解決策を見出していく。
そうしながら着地点を見出す、というのが立場が違うもの同士が上手く物事を運べるやり方のでは、と思います。
部署が違えば専門性も異なります。
その辺りの話は過去記事
をご覧ください。
その上でこちらの主張や考え方も理解してもらう、いう事です。
この考え方、実は株のトレードとも考え方が似ています。
株価というのは数字です。
ところがその数字はコンピューターが勝手に計算した結果の数字という訳ではなく、株式相場に参加している人の思惑が株価を決めている訳です。
「株価は上がるからここで買いたい。」
「上がるだろうけどもうちょっと下がったら買いたい。」
「そろそろ天井だから売りたい。」
「悪材料が出たから売りたい。」
という人たちがそれそれの意思で注文を入れ、その結果として株価が決定されるわけです。
ところが残念ながら上記の仕事の進め方と違うのは
「正しいのはいつも相場」
「正しくないのはいつも自分」
という様に絶対的に正しいのが決まってしまっている、という悲しい現状です。
仕事にしても株価にしても数字には必ず何らかの裏付けがあります。
売上、労働時間等は現場サイドが一生懸命取り組んだ証であり、株価はその株を買った人=買い方とその株を売った人=売り方のバランスの結果成り立つものです。
両方とも現場サイドで起きている事です。
数字だけを追うので無く、現場(売上等なら会社内外、株価なら証券市場)をしっかり観察して
「何故この数字なんだろう。」
「何故株価はこの値段なんだろう。」
という観点から考えるとうまく行く事が多いと感じています。
株のトレードをやっている人、株価がその価格にいるのはなんらかの意味があります。
上がった下がったも大事ですがその辺りをしっかり考えてみましょう。