就職活動中の後悔の話です。
以前、といっても30年近く前の話ですが、大学4年生の時の就職活動中に某航空会社の面接を受けた事がありました。
実名を挙げれば誰もが知っているあの会社です。
その時に面接官から
「ある分野に精通したスペシャリストとさまざまな分野をしっかり把握しているゼネラリスト、貴方はどちらを目指したいですか?」
という質問を投げかけられました。
僕はその時は何故か
「様々な分野を把握しているゼネラリストになりたい。そうすれば会社全体の業務も俯瞰で見渡せるから。」
という趣旨の事を答えました。
この回答、年月が経てば経つほど後悔しています。
今もしこの質問を受けたら間違いなく
「特定の分野に精通しているスペシャリストを目指したい。」
と答えます。
僕が思うに
「有能なスペシャリスト程替えの効かない存在はない。」
と思うからです。
そのスペシャリストの代名詞的な職業が
「士業」
ですね。
弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、弁理士…。
様々な分野のスペシャリストです。
その中でも得意分野が様々あり、例えば一口に弁護士といっても企業法務専門であったり、個人の債務整理専門であったり、離婚訴訟専門であったり、それぞれが専門の分野があり、それを飯の種にしている訳です。
僕自身今では間違いなく
「特定分野のスペシャリストを目指すべき。」
だと断言します。
特定分野のスペシャリストを目指す過程でその周辺知識は間違いなく付いてきます。
逆に最初からゼネラリストを目指すと知識の付け方がどうしても
「広く浅く」
になってしまう。
そうなるとどうなるかというと
「何でも知っている様に見えて一番肝心なことがわからない。」
となってしまいます。
昔砂場で遊んだ時の事を思い出してください。
穴を深く掘って行くといずれ自分の手が入らなくなるまでしか掘れなくなります。
そうするとそれ以上深く掘ろうとするとどうすべきか。
スコップを持って来て自分の体を入れながら掘るしかありません。
さらに深く掘ろうとすると今度はボーリングマシンを使わざるを得なくなります。
となると自分の手→スコップの為の自分の体→ボーリングマシン、と掘る物が変化して行くにつれ、穴の直径はドンドン広くなっていきます。
これ、知識と全く一緒で特定の分野についてとことん掘り下げようとすると関連知識はドンドン広くなっていくはずです。
ですからスペシャリストを目指そうとすればある程度のゼネラリストになっていくはずなんです。
かつて別の会社で働いていた時にその時の上司に
「何でも出来るは何にも出来ないと同じだよ。」
と言われた事があります。
当時はその事がイマイチピンと来てなかったですが、今はよくわかります。
とにかく鋭く尖る事。
尖って「ここは誰にも負けない」という分野を作る事。
世の中スペシャリストは沢山います。
自分の専門外と思ったことはそういう人に聞けばいいんです。
そうやって自分の経営資源(個人なら時間ですね)を特定分野に特化していく。
そうする事で鋭く尖れます。
その後もしその分野と縁が無くなってしまったとしても
「特定分野のスペシャリストを目指した。」
という実績は残ります。
その経験はその後の人生、その後別の分野のスペシャリストを目指す時に必ず役に立つ時が来ます。
是非鋭く尖る事を意識してみてください。
ぶっちゃけ就職活動の事なんて20年以上前の事で殆ど覚えていませんが、たまにメディアとかで就職活動に関するニュースを見ると、この質問だけはほろ苦い後悔と共に思い出します。