前回記事の続きです。
前々回記事の要点としては株式投資というものに対するノウハウが我々一般人にはない、という事でした。
前回記事の要点としてはものの値段については絶対的なものはなく、需要と供給のバランスで価格が決まる、という事でした。
株式投資は出来ない、株価というのは需給バランスで決まる、という事はどうすればいいのか。
株式投資でなく株式投機をすればいい、という事ですね。
この株式投機こそ株式トレードです。
投資というのは将来有望な投資先に長期的に投じて、投資先の成長や経済価値の増加に伴い、そのリターンを得るというものです。
一方投機というのは短期的な価格の変動による価格差を利益として得る、というものです。
投機の「機」は機会の機です。
投資というのは基本的には「投資先に成長の度合いがあるかどうかを見極める」という作業が必要になります。
何故かというと投資先企業の現在価値と将来価値を比較して将来価値が高ければ現在価値と将来価値の差額が成長の度合いとなり、投資家はそこから投資に対するリターンを得るからです。
ですから基本的に「経済成長を前提とする。」という事になりますね。
ところがこの成長度合い云々を判断するのが一般人には非常に難しいです。
・その会社がどんな事業を行っているか。
・その事業での業界の位置付けはどのあたりにいるのか。
・その事業分野での現在の強みと弱みは何か。
・今後どの分野でどんな方法で強みを伸ばし、弱みを消そうとしているのか。
・今後どんな分野に参入していこうとするのか。
・参入しようとしている分野の将来性はどうなのか。
・その会社が参入していってシェアを奪う事が出来るのか。
これらの事を確認した上でその企業の成長性や将来性を考えて将来価値が現在価値を上回るかどうかの判断をしなくてはいけません。
このノウハウはあるか、という事です。
しかも成長性や将来性というのは長期的に見ていかないといけません。
結果はすぐには分からず、いったん投資をすると資金は拘束されます。
ところが価値、価格というのは需要と供給のバランスで動くので会社の価値は常に動いている訳です。
これに関しては不動産等の現物資産と異なり、動きが円単位で分かります。
これこそが株価です。
この短期的な価格の変動を捉えて細かく買いと売りを繰り返すのが投機です。
株価1,000円で買った銘柄の株価が1,100円になったら売ればいい。
この100円をとりに行くのが投機です。
僕は素人がいきなり投資をやるから大損する人が出る、と思っています。
ノウハウのない個人こそ投資でなく投機をやるべきだと思います。
(もちろんそれなりの勉強をして、という前提はありますが。)
理由① 投資環境より投機環境の方が整っている。
株式投資は企業の現在価値よりも将来価値の方が上回るかどうかを見極めなければなりません。
その為に必要な情報が一般人が手に入るか、という事です。
また企業は競合他社対策やリスク管理の観点から本当に必要な情報や方針を極力隠そうとします。
またスポンサーに忖度したメディアから入る二次情報やあくまで現在価値しか示さない財務情報だけでは本当の事は分かりません。
それに対して投機環境はどんどん整いつつあります。
証券会社は高精度の株価情報ツールを安価に提供し、証券会社のコールセンターを通さずにインターネット経由で株式の注文が出来ます。
理由② 投機は株価が下がっても利益を出せる。
投機には「信用取引」という制度があります。
これを使うと株価が下がると利益を出せる「空売り」という手段が使えます。
株式を時価1,000円で100株証券会社から借りる。
但し実際に株券が手元に来るわけではありません。
株をやる為に証券会社に入れてあるお金のうち、1,000円✖️100株=100,000円分が拘束されます。
株価が900円になった時に証券会社から借りた株を返却します。
この場合900円✖️100株=90,000円を返却すればいいです。
100,000円借りて90,000円返せばいい、という事は10,000円が手元に残ります。
これが空売りの仕組みです。
◯◯ショックという株価が一気に下がっていく局面では凄まじい威力を発揮します。
以上が株をやる人が投資より投機をやるべきという理由です。
たまに書籍やネット上で
「初心者に投機は危険。中長期に渡りリターンを得る投資をやるべき。」
という意見を目にしますが、僕からしたらとんでもない暴論だと思います。
好景気と不景気が繰り返すのは歴史が証明しています。
株価は上昇する時もあれば下降する時もあります。
株価を決めるのは唯一需給バランスのみであり、長期的に見たら株価が上昇するとは限りません。
また投資をするのに必要な情報、材料が一個人のところにどこまで降りてくるか、というのは極めて疑問です。
であれば不確実性の高い情報によって判断した不確実性の高いものに資本を投じずに短期的な需給バランスの変化を見極めながら投機を行う、というのが株の取引で利益を出すのに一番安定したやり方だと思います。
「初心者は投機的売買を避けて株式投資をすべき。」
という誤解があるからこそ、それに囚われて株式投資をする人が株価の急落場面で資金を失い市場からの撤退を余儀なくされます。
株は「投資」をするからこそ大損します。
しっかり勉強し、リスクというものの本質をしっかり捉える事が出来る方にとって株の投機=トレードは是非取り組むべき手法だと思います。