「数十年続く経済成長」というものに期待して将来の資産形成を考えるのって危険と思いませんか。
先日、ある女性と職業の話をしていて僕が株式のトレード塾の講師をしている、という話になった時に
「私積立NISAをやってるんです。どう思いますか。」
と聞かれました。
まあいいんじゃないですか、という話をしました。
というかそういう答え方しか出来ないというのが偽らざる心境です。
ただその時に心の中でその女性に問いかけたのが上記の一文でした。
①株価は上がる事もあれば下がる事もある。
投資信託、積立NISA…。
いすれも「株価が上昇する事を前提とした」設計になっています。
この手の話、この手のネタがメディアに登場する度にいつも思うのが
「株価が下がったらどないすんねん。」
という、株式相場ではごく当たり前にある事実です。
これは脅す訳でもなくごく普通の出来事です。
あるサイトの積立NISAに関するQ&Aに興味深いやりとりがありました。
「損をするのが怖くて投資を始められません。『積立NISA』で絶対に損をしない投資はできますか?」
という質問でした。
それに対する回答が
「残念ながら投資に『絶対』はありません。また『積立NISA』には、元本保証の商品もありません。しかし、『積立NISA』なら、損をする確率を減らすことは可能です。
積立投資を長く続ければ、一時的に損失が出ても、いずれプラスに転じる可能性が高くなります。『積立NISA』の非課税投資期間は最長で20年間もありますから、時間を味方につけて、運用成績がプラスになるまで積立投資を続ければいいのです。」
という内容でした。
この回答、僕からすると
「こんな事マジでメディアに掲載しているのか」
というかなり衝撃的な内容でした。
下記のチャートは日本の株式市場の方向性を表す代表的な指標である日経平均株価の30年の値動きです。
1989年に約3万8千円をつけた日経平均株価は2019年3月20日現在で21608円と未だにバブル時代の最高値の56%程度にまでしか戻っていません。
これはどういう事でしょうか。
「1990年代に積立NISAを始めた人は積立NISAの最長期間である2010年前後まで保持し続け、そこで解約したら大損している。」
という事実です。
人は未来の事はたとえ1秒先の事でも分かりません。
分からない事に対し
「時間を身につけて、運用成績がプラスになるまで投資を続けろ。」
なんていうのはまやかしにしかすぎません。
僕ならば上記の
「損をするのが怖くて投資を始められません。『積立NISA』で絶対に損をしない投資はできますか?」
という質問に対する答えは2つ用意します。
「絶対に損しない投資商品はこの世に存在しません。投資を始めなくて正解ですよ。」
というか、もしくは
「投資というのは損失を許容しないと出来ないものです。その損失を知り、コントロールする術を勉強してから始めたらいかがですか。」
のどちらかですね。
②大幅な含み損が出た時に耐えられるのか。
株価が一気に下がっていく事を「〇〇ショック」といいます。
ライブドアショック、リーマンショックと言われるのがまさにそんな感じです。
なぜこんなことが起こるのか。
これは
「資産が急激に目減りしていく投資家の恐怖心が保有資産を現金に戻そうと売りに走る。
売られると株価が下がる。
その下げに恐怖感を覚えたほかの投資家も売りに入る。
さらに株価が下がる。
この連鎖が〇〇ショックを生む。」
という訳です。
これは何を意味するのでしょうか。
「人は資産の急激な目減りに耐えられない。」
という事です。
例えば積立NISAや投資信託を始めたとして5年位こつこつ積み立てた資産が一気に目減りしたらどうしますか?
月に2万円積み立てたら年間24万円、5年積み立てたら120万円になります。
仮に10%の運用益が出ていたとしたら130万円程の資産になっています。
これが〇〇ショックに巻き込まれ評価額が半分位になってしまったらどうしますか。
それでもこれらの商品を継続して買い続けますか。
結局考えないといけないのは
「人の心理」
という事です。
どんな投資にしても行うのは結局人なんです。
自分自身です。
もしあなた自身が
「〇〇ショック等で自分の資産評価額が3分の2や半分になっても構わない。そのリスクをとっても投資信託、積立NISAを行うんだ。」
というのならそれでも構わないと思うのですが…。
この辺りの話って昨日書いた記事
にも話した事と共通しますが、大幅なリスクを許容する気持ちがあるのならどんな投資商品を購入してもいいとは思います。
ところがそういうリスクを許容しない、大幅な資産の評価減に耐えられない、というのでしたら僕はやめた方がいいと思います。
投資の世界では時間というのは敵にも味方にもなりえます。
へ続きます。